オープンカフェでイタリアン、職人が新鮮なネタを握る回転ずし--。大学の食堂、学食が様変わりしている。味もなかなかとか。おすすめは?

 1300席の空間を学生が埋める。東洋大白山キャンパス(東京都文京区)の学食は、専門店6店が軒を連ねるフードコート形式。「ほぼ毎日ここに来て、空揚げか半熟オムライスを食べる」と1年の男子学生3人。注文を受けてから焼くナン付きカレーとタンドリーチキンも評判だ。

 日本工業大(埼玉県宮代町)のイチオシは、その日の仕入れでメニューが替わる「みのり寿司」。500円の「サンマのたたき丼」や650円の「ネギとろ・あぶりサーモン丼」が人気だ。「ウニ・ネギトロ丼」は850~1000円と値が張るが、80~120グラムのウニがのる。店主の米山久雄さん(50)は、近くのすし店で修業中に大学関係者から声をかけられ、92年の独立と同時に出店した。

 フレンチレストランもある。東京大の「ルヴェソンヴェール」は04年に開店した。「コショウダイのポワレ、香味野菜」などの日替わりランチが800円。学生には高めだが、店側は「特に奮発したい時に来るようだ」。

 ■環境問題に取り組み

 内装も一変した。約2年前にリニューアルした学習院大は、セブン&アイ・フードシステムズに運営を委託。女子大学食にはピアノもあり、学生によるランチコンサートも不定期で開かれる。

 一方、環境や社会問題に配慮する取り組みも。青山学院大は今年、野菜を多く使った週替わり定食480円を頼むと、20円を途上国の子どもに寄付する「テーブルフォーツー」運動を始めた。学生たちが学食の運営企業と交渉した成果。4年の沢木一真さん(22)は「授業で学生でもできる国際協力を学び、実行に移した」と話す。

 ■近隣住民も積極活用

 今の学食に貧乏学生のたまり場といった雰囲気はない。受験生を呼び込む手段ともなっており、駿台予備学校の広報担当者は「少子化で学生の関心を引く工夫が求められる。景気の低迷で外食産業が生き残り策として大学に進出している面もある」と分析する。

 全国の大学を食べ歩く早稲田大サークル「学食研究会」の中村潤一幹事長(21)は「学食は、大学生活の基盤。行けば、誰かしら知り合いがいて情報交換できる」と話す。長居もできる。「レストランなどの利用者の多くは教職員や近隣住民。大学の宣伝効果もある」。私立に限らず独立行政法人化した国立大も、学食に新たな価値観を求めているようだ。