「政権交代で業界団体の地盤沈下」 (2009/10/23)
「酒税の問題で政府に意見を言いたいのだが、民主党政権に知り
合いがいないので困っている」。先日、ある大手酒造会社の役員と
会ったとき、こんな話を聞きました。民主党との接点がなく、産業
界の要望をどう伝えていいか分からないのは、多くの経営者に共通
する悩みのようです。
これまでは経団連を頂点とする業界団体が、企業の要望を吸い上
げ、自民党の族議員を通じて政府に伝えていました。自民党政権は
こうした要望に応えて、企業活動を後押しすることで企業業績を好
転させ、雇用や賃金を増やして、間接的に家庭に恩恵を及ぼす考え
方でした。
政策立案にあたって、企業から要望を吸い上げるのは、自然の流
れだったわけです。ところが政権交代によって、企業の声を政策に
反映させることが難しくなっています。
民主党政権は「生活者重視」を政策の重点に掲げ、子ども手当の
創設など、家庭に直接お金がわたる方法を検討しています。これに
よって、個人消費を喚起するという考え方です。
消費関連の小売業や外食産業にはプラスになるでしょうが、一方
で最低賃金の引き上げなどで、企業の人件費負担は増します。今年
末の税制改正でも、租税特別措置などによる企業活動への後押しが
縮小するのは、避けられない情勢です。
恐らく当面、企業と政府とのパイプが細い状態は続くでしょう。
そうすると「業界団体の存在価値はない」という声が高まると予想
されます。
業界によっては、複数の団体が並立する例も珍しくありません。
元々は、縦割りの行政や族議員のシステムに合わせて設けられたも
のです。政権交代によって、業界団体の見直し、再編が起こる可能
性は高いと思います。
(日経MJ 竹之内氏より)
合いがいないので困っている」。先日、ある大手酒造会社の役員と
会ったとき、こんな話を聞きました。民主党との接点がなく、産業
界の要望をどう伝えていいか分からないのは、多くの経営者に共通
する悩みのようです。
これまでは経団連を頂点とする業界団体が、企業の要望を吸い上
げ、自民党の族議員を通じて政府に伝えていました。自民党政権は
こうした要望に応えて、企業活動を後押しすることで企業業績を好
転させ、雇用や賃金を増やして、間接的に家庭に恩恵を及ぼす考え
方でした。
政策立案にあたって、企業から要望を吸い上げるのは、自然の流
れだったわけです。ところが政権交代によって、企業の声を政策に
反映させることが難しくなっています。
民主党政権は「生活者重視」を政策の重点に掲げ、子ども手当の
創設など、家庭に直接お金がわたる方法を検討しています。これに
よって、個人消費を喚起するという考え方です。
消費関連の小売業や外食産業にはプラスになるでしょうが、一方
で最低賃金の引き上げなどで、企業の人件費負担は増します。今年
末の税制改正でも、租税特別措置などによる企業活動への後押しが
縮小するのは、避けられない情勢です。
恐らく当面、企業と政府とのパイプが細い状態は続くでしょう。
そうすると「業界団体の存在価値はない」という声が高まると予想
されます。
業界によっては、複数の団体が並立する例も珍しくありません。
元々は、縦割りの行政や族議員のシステムに合わせて設けられたも
のです。政権交代によって、業界団体の見直し、再編が起こる可能
性は高いと思います。
(日経MJ 竹之内氏より)