サイゼリヤが7日に発表した2008年8月期決算は、店舗数の増加などで売上高は前期比2・5%増の849億4900万円と過去最高を更新した。過去最高は36期連続になる。ガソリン価格の高騰や節約意識の高まりで外食離れが加速するなかで、サイゼリヤは、今年前半はやや苦戦したものの、低価格戦略が時代の波に乗り、不振が続くファミレス業態で存在感を示している。

 営業利益も0・8%増の75億100万円と3期連続の増益を確保したが、最終利益は為替差益が足を引っ張り、9・1%減の40億1100万円と3期ぶりの減益となった。

 同社の好調の秘訣は、徹底したコストダウンにもある。豪州の子会社を通じて、現地で原材料調達から加工までを手がける一環システムを構築するなどコストを削減した結果、ハンバーグステーキを399円で提供するなど、低価格戦略で支持を集めてきた。

 もちろん、ガソリン高の影響はないわけではない。車での来店が多い郊外店を中心に売り上げが減少し、4月には来店客数が減少し、売上高も6・5%減に落ち込み、不振が続いていた。しかし、7月以降は、猛暑やテレビ番組効果の“特殊要因”も後押しし、売上高は9・5%増と巻き返し、8月以降も既存店売上高は前年実績を上回る快走を続けている。

 同社の正垣泰彦社長は「景気が悪くなり、サイゼリヤが選ばれるようになった」と、節約意識の高まりで低価格メニューの需要が拡大したと分析する。今期は集客力の高いショッピングセンターなどを中心に、30店を新規出店するほか、中国や東南アジアにも30店程度を出店する強気の計画で、2009年8月期の売上高は2・4%増の870億円、最終利益も4・7%増の42億円と増収増益を目指す。