一番のポイントは、対処法をスタッフにどう教育するか、ということ。もし店のスタッフが社員で、しかもある程度の年齢なら、口頭で対応策を説明するだけで十分かもしれない。しかし、パートやアルバイトで、若い人が中心なら、きちんと文章化してマニュアルを作っておいた方がよいだろう。ここでは、マニュアル化を前提に細かく説明してみよう。

最初に、営業時間中はどんな訪問販売でも店舗では受け付けない、という基本姿勢を明確にすべきだ。とはいえ、「訪問販売イコール悪」と決め付け、すべてを門前払いにすると、店にとってプラスになる情報まで逃してしまうこともある。

例えば、「厨房機器や食材など飲食店の経営に直結するセールス」に限定して、「アイドルタイムであれば、事務所に通して説明を受ける」というサブルールを決めておくとよいだろう。ただし、「責任者が不在の場合は後日、出直してもらうようにする」という但し書きは必要だ。

店の経営に関係ないセールスが来たら、アルバイトだけの場合でも、はっきり断るように徹底させよう。「今、責任者がいないから」などと含みを残す対応をすると、翌日またやって来たりする。

セールスを断るときには、来店中のお客にも、十分配慮しなくてはならない。お客の頭越しに「うちは間に合っているよ」とか「忙しいから帰ってくれ」などといったぞんざいな言葉遣いで断ると、お客も厭な気分になって再来店する気がしなくなってしまう。不思議なもので、それが第三者に向かっての言葉であっても、聞いた人はあたかも自分に対して言われたように感じるものなのだ。

セールスには店の外で応対するのがベスト。ただ、実際には外に出るのが無理なケースも多いので、「うちでは訪問販売は一切受けておりませんので、お断りします」「ただ今、混雑しておりますので、申し訳ありませんがゆっくりお話できません」など、とにかく口調は丁寧に、しかしきっぱりと断る話し方をスタッフ全員に練習させよう。

それでも、繰り返し店にやって来るなら、店長が待ち受けて「自分が責任者だが、とにかくお断りする」と毅然とした態度で対応したい。